心理カウンセラー認定試験(第4期) 受講者の発表3

私を変えてくれた息子。連鎖を断ち切り理想の家庭を築くまで。

みなさん、私を見てどのような印象を受けますか?

明るい髪色、はっきりした目、ハキハキした話し方。

昔から、しっかりしている、強そう、悩みなさそう、そんなことをよく言われていました。

 

ですが、実は私は、幼少期から大人になってからも大の自分嫌いで、人間関係もうまくいかない。

生きづらい、どうしたら幸せになれるの?

そんな思いをずっと抱えながら生きていました。

 

そんな私が大きく変わるきっかけとなったのが、 息子の出産。

息子から見た時に、私はどんなママだろうか?

どんなママだったら、この子は安心できるのだろうか?

必死に考え育児をしていく中で、今の理想を手に入れました。

 

そして、この経験は同じように悩む誰かの役に立つと思いカウンセラーになるために心理学の勉強を始めました。

しかし、心理学を学ぶ中で私はインナーチャイルドを持ったアダルトチルドレンであることがわかり、強い承認欲求、相手の問題を自分の問題のように受け取ってしまう思考を持っていることが、わかりました。

アダルトチルドレンとは親などの養育者から受けた不適切な教育によって心に傷を負い、大人になってからも生きづらさを抱える人のことを言います。

「お姉ちゃん」の呪縛

私がどんな環境で育ち、アダルトチルドレンになってしまったのか。

まずは、幼少期のお話をさせてください。

 

私の家庭は 父、母、祖母、私と一つ下の妹と6つ下の妹の6人家族。

物事ついた頃には妹がおり、私はずっと『お姉ちゃん』として育ちました。

 

家庭内は縦社会。

子供は、親に育ててもらってる。

親は、子供を育ててやってる。

親の言うことは聞くものだ、口答えするな。

生意気言うな、わがまま言うな。

暴力や暴言は日常茶飯事。

どれだけ家の中で泣き喚いていたかわかりません。

 

そして、どんなに傷ついても、悲しくても辛くても

『親に感謝しろ』

何が理由であっても、説明を聞いてほしくても、わかってほしくても認められませんでした。

 

さらに、長女だった私は

お姉ちゃんだから手伝う

お姉ちゃんだからできる

お姉ちゃんだから我慢する

いやだ!!!と言うと

お姉ちゃんなのに

お姉ちゃんのくせに

お姉ちゃんでしょ?

褒められる時も『さすがお姉ちゃん』と

何をしても『お姉ちゃん』がついて周りました。

 

私の気持ちよりも『お姉ちゃん』というだけで役に立つこと、期待に応えること、優しくすることを強いられ、できなければ『お前にはガッカリだ』と言われる始末。

特に家の外でもしっかりしてることを求められ、はしゃぐな、じっとしてなさい、言うこと聞きなさい、お母さんが恥かくでしょ!!と言われ、

『エリちゃんしっかりしてるね!いい子だね!』

とご近所さんに言われたときの親の誇るような顔は、 より私の中の『お姉ちゃんの呪縛』を強めていきました。

 

家庭環境も悪く、嫁姑の関係は絵に描いたように最悪でした。

祖母は母に自分勝手な嫁像を押し付け、常に『自分に従え』というような態度。

祖母のしてきた育児、さらには祖母の娘である叔母のする育児は正しくて、私の母がする育児は全て間違っている!という言いようでした。

 

攻撃的な言葉で愚痴や文句を言うことは日常的で、さらに、三女が生まれた時には、母はストレスからか母乳が全く出ずミルクを飲ませていましたが、そのミルクを隠すという嫌がらせまでしていました。

父は自分の趣味が優先で、母が相談してもまともに話を聞かず。

『自分には味方がいない』と家庭内で孤独だった母はまだ幼い私に頼り始めました。

祖母の愚痴、父の愚痴

もう限界、苦しい、辛い、離婚したい。

さらには『おばあちゃんを殺して私も死ぬ、あんたたちはお父さんに育ててもらいなさい』 など。

子供の私には、想像したこともなかったような話を、されました。

 

私が母の味方でいなければ

私が母に『大丈夫だよ』と言ってあげなければ『お母さんはおばあちゃんを殺してお母さんも死んでしまう』という強烈な恐怖を覚えました。

 

みんなの家庭が羨ましく、なんでみんなは幸せそうなの?

私はこんなに辛いのに。

でも、この家が私の家なんだ。

幼いながらに私は、自分の家にいることに絶望を感じるようになりました。

 

それでも、私がしっかりすれば!!私が頑張れば!!

お姉ちゃんとして役に立って

母に褒められて父に褒められて

祖母に褒められて

そして母が笑ってくれたら

きっと上手くいく!!

私が頑張れば大丈夫!!

 

私は、子供らしい素直な気持ちと、家庭がうまくいくことへの葛藤をしながら徐々に素直さを失い

人のために我慢をして、褒められたい!!

認められたい!!という、思考を持った子供へと成長し、そのまま大人になってしまいました。

 

社会に出てからも 人間関係や職場環境に悩み、自分の気持ちは相手に伝えず我慢を重ね、周りを見て人に気を遣い、ニコニコ繕うくせに愚痴や文句が多く、相手に対して

『私がこれだけやってるんだから、あなたもやりなさいよ』

『あなたがやらないから、私がやらなきゃいけないじゃんか』

『あ〜人ってめんどくさい』 と心底思っていました。

 

さらに、私はこんなに頑張ってるのに!

誰かありがとうくらい言ってよ!感謝してよ!!

私ばかり頑張っていて、

みんなずるい!!誰か気づいて助けてよ!!!!︎

など、心の中で相手に対して

こんな怒りを抱くようになっていました。

 

しかし、私が承認欲求が強く、人間関係に悩むことに幼少期の経験が影響していると知るのはまだまだ先のこと。

私の生きづらさは、結婚を機に、さらに悪化します。

結婚で生きづらさが悪化

旦那さんの家を継ぐということ、恥のないように

『しっかりしたお嫁さん』と思われるように

母から教わった常識で私は立ち回り、とにかくなんでも先回りして考え

 

さらに、母と祖母の関係を反面教師に

絶対に私は母親のようにならない!!

私は無意識に『義理家族といい関係を築く』ということに執着していきました。

 

義理の父からも『嫁として』という話をされると異常に反応し、義理の母から様子を伺う連絡があっても

言われなくてもわかってる!!

私はきちんとやってる!!

そう歪んだ受け取り方をし

私はお母さんのようにならない!

私が我慢すれば、私がニコニコしていれば!

私が嫁としてしっかりやれば!

きっと私を認めてくれる! 全部うまくいく!

そう思い込み、私は自分の首を絞めていきました。

 

息子の誕生

そんな中、私は息子を妊娠

もちろん、 旦那さんと望んでできた子どもでしたが、私は自分が親になることに、恐怖を感じるようになりました。

親に傷つけられ泣かされ、悲しいと苦しいと怖いという、自分の受けてきた育児を思い出し

それ以外の育児を自分は知らない...

私にできる育児はこれしか知らない...

毎晩寝られないほど泣いていました。

 

いつからか、私もこの子に同じ思いをさせてしまう

自分が子供を育ててはいけない。

そう思った私は『子供を堕ろしたい』と旦那さんに言ってしまいました。

これには、普段温厚な旦那さんも、もちろん大激怒。

私も、なんてことを口にしたんだととても後悔し、こんな自分が情けなくうんざりしました。

 

無事に息子を出産。

ついに育児が始まった!と思ったら、コロナの感染拡大

緊急事態宣言により、人に会うことも親に頼ることもできず、息子と2人きりの時間が長い。

そんな毎日が続く中で孤独感を感じ始めた私は、初めての育児の不安と重なり精神的に崩れていきました...

 

私のなりたい母親になる!

しかし、その時に私は息子を目の前にして思いました。

今の私は、息子から見たらどんなママだろう?

不安そうにして、辛そうにして、

私が母親を心配して見ていたように、息子にも同じような心配をさせるのか?

 

この子はまだ赤ちゃん。

これから生きて、いろんなことを知るんだ。

そう思ったとき、今のままの私では絶対にダメだ!!

私はこの子のために、なりたい母親になるんだ!!

母親のようにならない!!じゃなくて

私のなりたい母親になるんだ!!

 

そう強く強く思い、

自分の中でこうなれたら理想!という自分のなりたい母親を決め、理想のためにまずは徹底的に自分と向き合いました。

 

自分と向き合って気づいたこと

幼少期の家庭環境から振り返り

父と母の夫婦関係

母と祖母の嫁姑関係

母と私の親子関係を

よーく思い出してみました。

 

私が取ったこの方法は【家族療法 】と言い、親子関係、夫婦関係、祖母まで含めた三世代の関係性を見直すことによって問題解決を目指しました。

 

すると、母が被害者意識が強く

父に対して『自分の味方をしてくれない人』

祖母に対しても『自分のことを攻撃する人』と見るあまり

母から父に発せられる言葉がキツかったこと、

祖母に対しては母が何も伝えていなかったことを思い出しました。

 

その中でも母は父に対しての期待が大きく、日々家事や育児に必死になりながら祖母からの嫌がらせを受ける生活の中で

『辛い苦しい思いをしながらこんなに自分は頑張っている。なのに旦那は私を守ってくれない』

そう腹を立て、いつからか『自分は被害者』と思うことでうまくいかない全ての責任は父にある!

そう思い込んでいたことに気づきました。

 

世代間連鎖を断ち切る

さらに母が

『私はもっと優しいお母さんになりたかった、

子供の時いつも親がイライラしていて

殴られることなんかしょっちゅうだった

私の話なんて聞いてもらえかなった

頑張っても頑張っても褒められたことなんてない

だから自分が親になったら、子供に手をあげない

優しいお母さんになりたかったのに

気づいたら母親と同じ母親になっていた』

 

そう泣きながら話していたことを思い出し、母も私と同じ、辛い苦しい家庭環境で育っている

ということは、これは親から子へ、家庭環境が連鎖していると気づきました。

これを世代間連鎖といい、親の育ったように子供も育ち、親と同じ思考を持つようになります。

母親も同じ、アダルトチルドレンだったのです。

 

選択の基準は「自分がどうしたいか」

この恐ろしい連鎖に気づいた私はどうしたらいいか必死で考え、今までの自分なら【しなかった選択】を始めました。

いつも人のことを気にして、これを言ったら、これをしなかったら『誰がどう思うか』で決めていた私は

『自分がどうしたいか、どうなりたいか』

で全てを選択するようにし、理想の夫婦関係、義理家族との関係を旦那さんに叶えてもらおうとせず、自分にできることを徹底的に行いました。

 

旦那さんに対しては

どうしたら夫婦円満でいられるか

どうしたら気持ちよく私の話を聞いてくれるのか

考えながら伝えるようになり、母と祖母を反面教師に執着していた義理家族との関係も

『私が1番に守るべきは自分の家族!』

そう自分に言い切ることで、

いい子と思われなくてもいい!!

いい嫁と思われなくてもいい!!

嫌われてもいい!!

そう思えるようになりました。

 

こんな風に思えたのも私の幼少期の経験があったからです。

家族だから分かり合えるわけでも円満でいられるわけでもありません。

 

嫁が弱い立場、という思い込みを捨て、私という1人の人間としてきちんと自分の意見は伝える。

私は義理の家族に対しても『私はこう思います』と自分の意見を言い、何か頼まれごとをしても、できる時しかしない。

できる時に自分ができるだけのことをする。

それ以上の期待に応えようとしない。

 

相手にきちんと自分の気持ちが伝わるようにしました。

 

 

承認欲求を手放す

そして、強く持っていた承認欲求は、しっかりと自分と向き合う中で、相手に満たしてもらうものではなく自分で満たせるものだと気づきました。

 

私は大好きな人と結婚したんだ

大好きな人のお嫁さんに私はなれたんだ

欲しいと思って恵まれた子ども

可愛い息子が生まれてきてくれたから私は母親になれたんだ。

これってどんなに幸せなことなんだろうと、思いました。

 

私はちゃんと自分で自分を幸せにする選択ができています。

嫁だから、母親だからではなくて私がそうしたい!と思ったことができている。

だから、私はこれからも、旦那さんのことを大好きでいたい!

仲良く一緒にいたい、そのために私は、嫁として家事をしたい。

 

息子には『ママは僕の1番の味方、ママがいるから僕は大丈夫!』

そう思ってもらえる母親になりたい、そのために私は、この子の育児をしたい。

 

全ては自分で選んで望んだことが目の前で起きている。

この現実に感謝をしながら自分の行動一つ一つを自分で認めることで、相手に対して

感謝されたい!!褒められたい!!認められたい!!

と思っていた欲求を手放し

相手の事は相手の事

自分の事は自分の事

自分が頑張ることで相手から何かをもらおうとする執着もスッキリ手放すことができました。

 

自分の声をしっかり聞いて、自分に無理をさせない!

自分を本当に大切にできるのは自分だけ!

自分を本当に幸せにできるのは自分だけ!

そう言い聞かせながら、自分に素直な選択をし、自分で自分を満たし、それを繰り返していく中で少しずつ自分が好きになり、理想の自分を叶えることができました。

 

旦那さんも私も息子もお互いさま。

思い合い、助け合う、とても温かくて、幸せな家庭が築けていて、心に余裕があり

『今の私の気持ちはどう?』

『どうしたら旦那さんが嬉しいかな?息子が喜んでくれるかな?』

そんなことを考えながら、日々たくさんの幸せを感じられています。

 

心理学を学んで過去を完了できた

今まで、自分がアダルトチルドレンであること、どんな家庭で育ったかなど絶対に人に話せませんでした。

それはなぜかというと

『そんな話をしたら私がひどい母親だって人様に思われるでしょ!』

私の脳内で母親がささやいてたんです。

 

育ててくれた恩のある、親の顔に泥を塗る、そんなこと絶対にしてはいけない。

そう思っていた私が今回、なぜこのお話をしようと思ったかというと過去を完了できたからです。

息子を出産し、育児をする中で、世代間連鎖に気づき、心理学を学ぶことを選択した私が過去を、ただの辛くて悲しい忘れられないトラウマではなく

全ての経験には意味があった

私が生きるのは過去ではなく今。

そしてこれから生きる未来の為に今、私がどうするか。

目を向けられるようになったからです。

 

みなさんも忘れられない、辛くて悲しい過去、許せない過去があったら過去を完了させて欲しいと思います。

私は、辛い、苦しい、悲しいという環境で育った被害者ではありません。

親のことも恨んでいません。

 

 

過去の私と同じように悩む人へ

私は自分の気持ちで人生の選択をして、自分の足で生きて、旦那さんのことも息子のことも大切に守ります。

心理学を知っているのと知らないのとでは子育ては大きく変わります。

私があのまま何も気づかず、抑えられない自分の感情のままに子育てをしていたらと思うとゾッとします。

 

これからまだまだ大変なことも、腹が立つこともあると思いますが、息子が成長していく中で、私も一緒に、成長していきたいと思います。

私は1人の人間

もちろん旦那さんも、息子も1人の人間。

お互いに認め合いながら

息子にとってどんなママになりたいか

私が私の人生をどう生きたいか。

この軸をしっかりと持って

過去の私と同じように悩む人に

『自分の人生は自分で生きる』

『自分次第で人生は大きく変えられる』ということを

 

伝えていけるカウンセラーになりたいと思います。